ドクターブログ

非歯原性疼痛

 筋・筋膜性疼痛とは,筋の中に存在するトリガーポイント(以下TP)とよばれる,「こり」のような部分から生じる痛みをいう.TPによる痛みの特徴は,鈍痛で非限局性であり,患者は「この辺りが痛い」と表現することが多く、筋の運動によって疼痛は増悪し,慢性化により自発痛も生じるようになります。筋に局所的な圧痛部位があり,その「しこり」の部分(索状硬結;taut band)の痛みによって,周辺領域への特定のパターンをもつ関連痛を生じます。この痛みは,「疼痛発生部位」と「疼痛感受部位」が異なるため,臨床的に誤診につながりやすく,最大の問題点となる.本症例のように,筋・筋膜性疼痛が生じ歯へ関連痛を生じることを「筋・筋膜性歯痛」とよびます。
 関連痛のメカニズムは,痛覚神経の多数の一次ニューロンが,一つの二次ニューロンに収束していることと,痛みの慢性化により中枢神経が過敏化(中枢感作)を生じているために,疼痛発生源を混同することで生じると考えられています。このような異所性疼痛に対処するには,部位特異性をもった関連痛の生じ方を把握しておく必要があります。口腔顔面領域に関連痛を生じる代表的な筋肉である「咬筋」と「側頭筋」の関連痛の生じやすく、咬筋は主に上下顎の臼歯部へ,側頭筋は主に上顎へ関連痛を生じやすい。



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